脚本家・漫画原作者である星野卓也が捉えている
「ストーリーとは?」

ストーリーとは、一言で捉えるならば「成長と変化を描くもの」です。

私は、長年ストーリーを使って、ドラマやゲームのシナリオやテレビショッピングの構成、漫画原作を創ることに関わって参りました。

そんな、私が今
「ストーリー」のつくり方/考え方について学校や教育機関、企業で伝えることにも取り組んでいきたい思う理由は、「ストーリー」という魅力なツールを
もっと多くの人たちに活用してもらいたいと思うからです。

その魅力とは――

ストーリーの中の成長と変化が人に伝わることで、「人の心を大きく動かす力を持っている」

ということです。

そして、それは、
ただシチュエーションの変化や、筋立てや展開が際立っているといった、
アバウトだったり、デコラティブにしていく偶然の創作物ではありません。

ストーリーとは緻密でシンプルないくつかの公式によって構成できるものです。

更に、今のこの国の義務教育の中では、このことについて系統立てて、伝えられていないことに気づきました。

義務教育では、国語、算数、理科、社会、英語といった学習科目があります。
そういった中で、夏休みの宿題には読書感想文、国語の時間には自由作文と
いった課題も必ずついて回ってきます。苦手な人も多いと思います。

それはなぜか。
それは、国語の授業時間の中では、「ストーリー」の読み説き方、構成方法、
紡ぎ方について、充分にフォーカスして伝えられていないからだと思います。

もし、それを義務教育から学べたとすれば、文章を書くことにも苦手意識はなくなり、自分の意のままに、相手に感じてほしいとおりに、シンプルに楽しく
自分を表現できるようになるのです。

小さな頃から内向的で、いわゆる話し言葉で自分の気持ちを伝えることが得意でなかった私は、このストーリー技術を知ったことで、言語化が容易でない感覚の伝え方や、同じ出来事でも、相手の受け取り方の温度を変えられることに気づき、人に伝えて共鳴してもらえる楽しさを体験しました。

話すことが苦手でも、ストーリーの力によって、相手の心を打つことができることを知ったのです。

それが後年――、手掛けたウルトラマンのシナリオが特別な評価を受けたり、ヒットゲームのストーリーブレインに関わったり、構成を担当したテレビショッピングの商品が記録的な売り上げを遂げた、というような結果を生み、近年でも、学習用アニメのシナリオ、ビジネスコミック、連載漫画原作の担当など、人々に愛されるストーリーを創り続けられる実績をもたらしているのです。

ストーリーとはいわば、言語や文章よりも確実に心を動かすことのできる「コミュニケーション・ツール」なのです。

なぜなら、夢や希望、愛や信念などの変化や気づきとしての「点」を、万人にとって共感出来る形に変え、印象に残るユニークな視点で生き生きと映し出す文脈(「線」)として紡ぐことができるツールに他ならないからです。

私が、教育の場でお伝えすることで最終的に想い描いている目標は――
すべての人が、自分自身の成長や感動の意味を知ること、つまり、自身の生きてきた道程をストーリーに照らすことで、そのドラマを味わい、噛みしめ、捨てたもんじゃないなといった自己肯定感の中で、色鮮やかに生きること。
その喜びや充実感を、他の誰でもない自分自身だけのオリジナルなストーリーを紡ぎ出す未来の担い手として、力強く生きて欲しいと願うからです。

 

星野卓也